【5分でわかる】書籍「世界一楽しい決算書の読み方」のポイント

この記事では、書籍「世界一楽しい決算書の読み方」をもとに、決算書の基本的な読み方について解説していきます。

決算書はなぜ必要?

決算書とは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書などの財務諸表で、企業の経営や財務の状態を正確に把握するために作る書類です。

決算書は社内の人間だけのものではありません。株主や投資家、銀行員などの利害関係を持っている全てのステークホルダーに向けて公開する書類です。投資家や株主にとっては「この会社は、これから伸びる会社なのか」といった投資先を判断するための重要な材料の1つになります。

しかし決算書は、何の理解もないまま、いきなり見ようとしても難しいと感じる人が多いと思います。ではどうしたら、いち早く決算書に慣れることができるのか。それは、会計の入門書などをたくさん読むといった方法ではありません。

一番の方法は、決算書の基本を押さえた上で、実在する企業の決算書を実際に読んでみることです。実在する企業の決算書を自分で読み解いていくことで、決算書の基本が自然と身についていきます。まずは、あなた自身が知っている企業の決算書から読み解いていくといいでしょう。

決算書の全体像は?

それでは、ここからは決算書の基本的な読み方について解説をしていきます。まずは、決算書の全体像についてです。

まず、決算書は一般的に下記の4つの情報から構成されます。

・貸借対照表(B/S)
・損益計算書(P/L)
・キャッシュ・フロー計算書(C/S)
・株式資本等変動計算書(S/S)

なかでも、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュ・フロー計算書(C/S)の3つは特に重要で「財務3表」と言われています。

投資家や株主は、これらの情報をみることで、「この会社がどのような資産を持っているのか」「どれくらいのお金を借りていて持っているのか」「今年の売り上げはどれくらいあり、売り上げのために費用はどれくらいかかったのか」などを確認することができます。

企業はこれらの書類を作成するために、毎日行われている膨大な数の取引内容を、それぞれ明確に記録に残しておかなければなりません。そのためには、取引を行うごとに毎回記録をつける必要があります。この作業を「仕訳」といいます。

つまり仕訳をまとめたものが決算書になります。決算書は日々の取引の集合体なのです。

また、投資家や株主は、投資をしたことによる「配当金」や「株価の値上がり益」などのリターンを期待して企業に投資をします。中には投資するかの判断を決算書だけで決めている投資家や株主も存在します。それぐらい決算書は、株主や投資家にとっては有用な情報になるのです。

貸借対照表とは?

それでは先ほど記述した財務3表のうちの、まずは貸借対照表(B/S)について解説をしていきます。貸借対照表(B/S)とは「財産に関する情報」をまとめたものをいいます。英語ではバランスシート(B/S)と言われています。

貸借対照表(B/S)を見れば、その企業が保有している財産(現金・建物など)の残高が記録されているので、「この企業にはどれくらいの財産があるのか」を知ることができます。

貸借対照表(B/S)では、左側に資産(借方)をまとめ、右側に負債と純資産(貸方)をまとめます。左側の資産の合計と、右側の負債・純資産の合計は必ず一致します。

それでは、資産、負債、純資産について詳しく解説をしてきます。

・資産(左側)・・・会社が保有している現金、建物などの財産の情報を記載
資産は「流動資産」と「固定資産」の2つに分類する必要があります。これは、資金の回収期間が長期に及ぶか否かによって分類されます。流動資産は、1年以内に現金化される予定のものや、現金の代わりになるものをさします。例えば、現金、銀行の預金、受取手形、製品などです。固定資産は、流動資産以外のものを指します。例えば建物、土地、敷金などです。

・負債 (右側)・・・借金や債務など、他人から借りているお金の情報を記載
負債も、資産と同じように債務の返済期間が長期に及ぶか否かによって「流動負債」と「固定負債」の2つに分類されます。流動負債は、1年以内に支払い予定のものをさします。例えば支払手形、買掛金、短期借入金などです。固定資産は、流動資産以外のものとなり、長期借入金や社債、退職給付引当金などです。

・純資産(右側)・・・経営者が設立した際に入れたお金や、利益をあげることで獲得したお金の情報
負債との違いは、返済が不要な資金のことです。資金も「株式資金」と「株式資金以外の小目」の2つに分類をします。

貸借対照表の事例

では、実際に貸借対照表(B/S)にはどのように記載されるのかについてです。

例えば、会社を設立する際に、経営者が100万円を会社に入れ、銀行から200万円を借りたとしましょう。その場合、貸借対照表(B/S)はこのようになります。

この貸借対照表(B/S)をみれば、この会社は300万円を持っているが、そのうちの100万円は経営者自身のお金であり、残りの200万円は銀行から借りたお金ということがわかります。つまり、300万円のうちの200万円は、銀行に返済しなければならないお金のため、返さなくていいお金は100万円だけだということがわかります。

では次に、この300万円を使って、建物を購入したとしましょう。すると貸借対照表(B/S)は次のように変化します。

このように資産の「現金」が「建物」に変わります。すると、この貸借対照表(B/S)をみた人は、銀行から借りた200万円と経営者自身が会社に入れた100万円の合計300万円で建物を買ったということがわかります。(いろいろな考え方がありますが、簡単な考え方をここでは記載しています。)

このように貸借対照表(B/S)では財産の状態だけではなく、財産をどのように誰から調達してきたのかという調達の状況や、運用の上表を知ることができます。

損益計算書とは?

次に損益計算書(P/L)について解説をしていきます。損益計算書(P/L)は、会社の利益を知ることができる決算書類で収益・費用・利益が記載されています。

簡単に言えば、企業が1年間の活動で、どのくらい売り上げがあり、いくら費用がかかったのか、その結果どのくらい利益が出たのを記録するものです。つまり、投資家や株主は、損益計算書(P/L)をみることによって、その企業が今年儲かったのかを確認することができるのです。

また、損益計算書(P/L)は英語の「Profit and Loss Statement」を略して「P/L」とも呼ばれています。

まず、損益計算書(P/L)では、左側(借方)に費用を記載し、右側(貸方)には収益を記載します。収益とは売り上げのことです。

借方と貸方は合計が必ず一致します。本来、費用の合計と収益の合計には差がでます。この差は収益や損失によります。ですので、収益と損益を記載することで、合計は一致します。つまり損益計算書(P/L)には「費用」「利益」「収益」の3つの情報が記載されます。

収益・・・企業が1年間に売り上げた金額
費用・・・従業員の給与、広告費用など1年間でかけた費用
利益や損失・・・収益と費用の差で計算。この数字でその企業が儲かっているかが分かる

また、利益には「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」と5つの利益があります。

売上総利益とは、売上高から原価を差し引いたもので、粗利益や粗利と言うこともあります。2つ目の営業利益は売上総利益から販売費を差し引いたものです。売上総利益には、商品の原価以外の販売・管理活動の費用が含まれていないため、営業利益を計算することで、本業での本当の儲けを計算することができます。

3つ目の経常利益は、本業で獲得した営業利益から、本業以外で獲得した利益を加算したものです。例えば、本業以外で株取引を継続的に行なっている会社などです。株取引により利益を生むことは本業で儲けているわけではないからです。このような継続的に活動した結果に生まれた利益は、会社の実力を表しているとも言えます。

4つ目の税引前当期純利益は、毎期のように発生しない(火災損失や事業の売却)から発生した利益や損失を、経常利益に加算して計算します。また、税引前当期純利益から法人税などの税金を控除したものが5つ目の当期純利益になります。

キャッシュ・フロー計算書とは?

次にキャッシュ・フロー計算書についてです。キャッシュ・フローとは企業の現金と預金がどれくらい増減したのかを計算する書類です。簡単に言えば、お金の流れをまとめた書類になります。

英語では、キャッシュ・フロー計算書のことをCash flow statement「C/S」といい、キャッシュ・フローというワードの略称を「C/F」をといいます。企業によっては、利益がプラスだとしても、キャッシュ・フローがマイナスになるケースもあります。ですので、常に現金預金の残高の動きを把握しておかなければなりません。

例えば、売上代金を顧客がクレジットカードで支払った場合に起こり得ます。損益計算書(P/L)上では、支払いのタイミングで利益が記載されますが、実際は企業に現金が入ってくるのは後からになります。そのため、1ヶ月の間売上は立っているが、現金の変動がないといったこともあるのです。

資金が十分に回っているということは、投資家や株主に投資先を決める上で、とても重要になりますが、これらを知ることができるのがキャッシュ・フロー計算書(C/S)なのです。

企業には、「営業活動」「投資活動」「財務活動」と3つの活動があります。キャッシュ・フロー計算書(C/S)では、こららの3つの活動から得た収入から、外部への支出を差し引いた手元に残る資金を計算します。

・営業活動・・・本業の営業活動による現金預金の増減
・投資活動・・・固定資産や株式などの投資による現金預金の増減
・財務活動・・・資金調達や借入金の返済等による現金預金の増減

通常、キャッシュ・フロー計算書(C/S)は、細かい項目に分けて記載していきますが、書籍「世界一楽しい決算書の読み方」では、次のように図解化して解説をしています。

この図表は期首と期末までの一年間の現金預金の残高を表しています。青い矢印は「営業活動」「投資活動」「財務活動」のいずれかにより現金預金の残高が増えたことを表します。この図表の場合は、営業活動と財務活動により現金預金の残高が増えたことになります。

赤い矢印は、「営業活動」「投資活動」「財務活動」のいずれかの活動により、預金残高が減ったということを表します。この図表の場合は、投資活動により現金預金の残高が減ったということです。

ここまで企業の3つの活動について記述をしましたが、もう少し掘り下げて解説をしていきます。

まず、営業活動についてです。営業活動の具体的な内容は、「商品を販売して手に入れた現金」「材料を仕入れるために外部に支払った現金」「広告宣伝費などの販売促進の際にかかかった現金」などが当てはまります。またこの場合、投資活動や財務活動に該当しないような「税金コストの支払い」「災害に伴う保険金の受取」なども営業活動に含まれてます。

次に、投資活動についてです。投資活動は、投資を行なって現金を支払った場合はマイナスになり、設備や株を売却した場合はプラスになります。

投資活動でのポイントは「マイナスだからよくない」というわけではないということです。重要なことは、営業活動や財務活動によって流入した現金を投資し、事業拡大を目指す活動ができているかという点がポイントになります。

場合によっては、投資活動が大幅にプラスになっている場合、事業を縮小していると捉えることもできるのです。つまり投資家や株主は、投資活動から企業の投資方針や経営スタンスを推測することができます。

最後に財務活動についてです。財務活動は、資金調達をしたらプラス、減ったらマイナスになります。とくに企業が上場したタイミングでは、財務活動が非常に大きくなることが多いです。過去に上場した会社の一年後の有価証券報告書から、上場期の財務キャッシュ・フローをみてみると、大きくなっているのが確認できるでしょう。

まとめ

ここまで、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュ・フロー計算書(C/S)の財務3表について解説をしてきました。決算書は何の理解もないまま、読もうとしてしまうと、難しく感じて挫折しそうになるかもしれません。ですので、まずは基本を押さえた後に、実際に存在する企業の決算書を読んでみることが一番です。

書籍「世界一楽しい決算書の読み方」でも、最短で決算書を読めるようになるためには、実在する企業の決算書を読んでみることが手っ取り早いと書かれています。特にあなたが知っている企業であれば、推測などもしやすいのでいいでしょう。

参考書籍「世界一楽しい決算書の読み方」(出版:株式会社KADOKAWA)

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